No Name

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夜というのは不思議なもので,
それは僕の前にも後ろにも,どこまでも広がっていて
僕を手招きするかのようです.
それでいて部屋の隅の方を見ようと目を凝らした僕を,
またこころに閉じ込めてしまう.

壁の向こうから聞こえるあの子の泣き声も
この夜の前では何の意味もなく
少しずつ消えるのを待つだけなのです.

気がつけば,轟々と鳴り響く夜の音.

5/17/2023, 2:32:08 PM