ユソッ

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【あくねこ ベリアン―君からの連絡―】

 先程まで晴れていたはずが曇天になったことに気付き、その頬に冷たい風が突き刺す様に吹いて、そのモノクロの髪を揺らし乍ベリアンは空を見上げた。
「ロノくん…遅いですね。大丈夫でしょうか」
 此処から少し遠くに天使が出たというので良いお店を探すついでに天使を倒してくる、とロノは出ていった。店を見ているのなら仕方ないとは思えない程とても時間が過ぎている。それにこの冷たく鋭く吹く風はもうじき雨が降るサインでもある。―もし知能天使と戦う羽目になっていたら…―そう思うと余計に不安である。だがもし仮にそうだとしても、同伴しているムーから何か連絡があるはず、増援を呼んでほしいとか。それさえも出来ない程なのだろうか…?何を考えてもベリアンの心をますます不安にさせるばかりだ。
「ベリアンさん」
 視界の端に見える水色の髪。フルーレだ。
「…!フルーレくん…どうかしましたか?」
「さっき、手紙が届いたんですけど…」
「ロノくんからですね…、」
 手紙が届く、つまり手紙が書けるというのは手紙を書くことができる余裕があったと言う事、ベリアンは心做しか安堵した。
―すみません、ベリアンさん。こっちじゃもうすごい雨が降ってて、雨が緩くなるまで雨宿りしてから戻ることにします。天使の被害も無いですし、主様も無事です、安心してください。―
「無事…なんですね、、」
 本当に無事で良かったと心の底からそう思う。土産話をたっぷり聞かせてもらわねば。

9/15/2024, 10:51:32 AM