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料理が上手くて優しい女。
怒らない女。
義父母との関係も良好。
そして、都合のいい女。

増築された新しい家。
昼ご飯を食べた後のダイニングテーブルに、片方が記入済みの一枚の紙。
「離婚してほしい」
真奈美は、にっこり笑う。
「‥わかった」
仲が悪かったわけじゃない。夫の不倫相手に子供ができたからだ。

1年後、二階建てのアパート。
綺麗に整えられた部屋。
吊り下げのポトスが風に揺れる。
「味が濃くて身体に悪そうだって食べないの!酷いと思わない?」と、元義母。
「ドアはちゃんと閉めろ!とか、靴下を丸めて出すな!とか、言い方がキツいんだ‥こんな話聞きたくないよね」と、元夫。
「筍おすそわけしたら、調理済みなら受け取ります。っていわれたの!感じ悪いのよ〜」と、元ご近所さん。

真奈美は、満足気にスマホを置いて、淹れたてのコーヒーを飲む。
彼らの不満は、全て、真奈美の愛という名の我慢で成り立っていたからだ。
(いいぞ!いいぞ!浮気女!あの愚民どもを思う存分、蹴散らしてくれ!!)

膝の上で猫が気持ちよさそうに、ゴロゴロとのどをならす。
「‥あぁ、幸せ」
真奈美は、ずっと飼いたかった猫をなでた。

3/25/2026, 1:14:30 PM