霖冴(りんご)

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窓から見える景色

ある寒い季節の雨が降る日、喫茶店を訪れていた。
客はとても少なく穏やかな時間が流れている。
窓際の席に座っている僕には冷たい雨が肌寒く響いているように感じる。
僕は誰かを待っているわけでも何かを待っているわけではない。
ただ、何杯目かも分からない少し冷えたコーヒーを飲みながら、ずっと繰り返しその一冊を読んでいる。
その本は海の見える場所が舞台で様々な人間模様がえがかれており、とても気に入っている小説だ。
僕は何度、この作品に登場したい、こんな場所に住んでみたいと思っただろう。
それほどまでに心踊る魅力的な内容の本なのだ。

いつか、僕にも窓から見える景色が晴れ渡るように感じることはできるのだろうか。
今は、まだ、先が見えない。

9/25/2022, 1:41:38 PM