望月

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《夢へ!》

 白い壁、白い床、白い椅子、白いテーブル、白いカーペット、白いベッド、白いカーテン、白い窓枠、白い証明、白い服。
 白、白、白。
 何度目覚めても白い世界。
 唯一外部との繋がりである白い窓は、外側が白いナニカに覆われており白一面に染まっている。
 一日目。違和感しかない。
 二日目。まだ慣れない。
 三日目。疲れが取れたように思えない。
 五日目。驚きはしなくなってきた。
 七日目。少し慣れてきた気がする。
 十日目。こういうものだと思う。
 十四日目。慣れてきた。
 二十一日目。白い世界が面白い。
 三十一日目。飽きてきた。
 五十日目。何だか気にしなくなってきた。
 百日目。普通で当たり前に思えてきた。
 二百日目。……白、なのだろうか。
 三百五十六日目。これが全てだ。
 五百日目。……。
 千日目、千一日目、千二日目、千三日目、千四日目、千五日目、千六日目、千七日目、千八日目、千九日目、千十目…………。
 暫く、しばらく、経って。
 発狂した。
「早く、はぁやく……夢へ! あははは! あは、あははは……っ!」
 夢の中へ行かなければ。
 色は、彩はそこにしか存在しないのだから。
「あっはははははは! あははは!! あっはは、はは、は……っ、は……!」
 永遠の、夢の世界へ。

4/11/2025, 9:51:37 AM