もし朝が来るのなら

Open App

「繊細な花」
しんしんと降る雪の中、道端にただ一輪だけ咲く花は、そんな名前がつけられています。
その花を一目見れば、あまりの美しさに、写真に収めたくなってしまうほどです。

そうそう、この花には、面白い伝説があるのです。

真っ白く、雪が踊る中、ふと足元をみると、まるで誰かを待つ幽霊のように、何気なく、そこにいる。
それはまるで氷のようで、優しく、冷たく、愛おしい。彼女は誰かを待っている。ずっと。
死んでも死んでも死にきれない思いを、たった少し風が吹いたら、せわしく揺れてしまう体に込めて。

私もよくわかりませんが、花に心があるのなら、花もまた、私たちと同じ、死にゆく旅人なのかな、と少しばかり感じるのです。

6/26/2024, 9:06:04 AM