あまね

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雫。その辺の通りを歩いていると、顔に冷たい雫が当たった。最初は雨が降るのかと思ったが、見上げてみるも空は快晴。けれど、何処からか誰かのすすり泣く声が聞こえる気がする。私は近くを見渡した。でも、人の影はどこにもない。

「なんだ、気のせいか」

軽い足取りで家に帰ると、中には誰もいなかった。お母さんもお父さんも、家には私一人。ふと何気なく机に目をやると、たくさんの診療明細書が散らばっていた。よくよく見ると、そこには私の名前とよく分からない検査の名前が並んでいた。

「あ、そっか。私って…」

私がいるはずの病室には、お母さんとお父さんの泣く声が響いていた。

4/22/2026, 12:53:19 AM