─突然の君の訪問。─
彩りの少ない部屋に鳴り響く、誰かが来た音。
朝8時にくるなんて配達員ぐらいと思い、
聞こえてないふりをするために布団に深く潜った。
その数秒後。
想像すらしていない相手の声が聞こえてきた。
僕が住んでいるこの狭い部屋は、扉が薄い。
その為、扉の前に居る人物の声は、布団に潜っても聞こえてくる。
「あれ、あいつ居ねぇのかな。」
その声は、間違いなく僕の親友の声だった。
確認のため、もう少し待っていると、また声が聞こえた。
「待って、まさか別の人の家だったか?」
「前に来た時はここだったと思うんだけどなぁ。」
覚えてないんだよなぁ、と親友は付け足した。
その疑問が確信に変わるまでが面白く、でも外は暑いので迎え入れることにした。
「あっ!居るじゃん、何で開けないんだよ!」
『いや、ちょっと君の反応が面白くて。』
「人が迷ってる所を笑うな!って言ってもお前はそーゆうやつだったな。」
『おい、そんな言い方しないでよ。』
『そんなことより、外暑いでしょ?早く入りなよ。冷房ついてるから。』
良くある、突然の君の訪問。
引っ越した僕には心配だらけだからありがたいけど。
これが親友なりの、僕を安心させる方法らしい。
8/28/2023, 11:47:34 AM