MZRYA−I'm little cat.

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星座 2024-10-05 22:51

「……見えないな。」
 異界の空。地球じゃないし、俺の知っている世界でも無いらしい。空に浮かぶのは太陽と月だけ。
 代わりと言ってはなんだが、ホタルのような生物が周りに飛び回っている。
 まるで動く星のような生き物。いつでも流れ星が見られるようなものだ。
「おや、ダイチじゃないか。こんな夜更けに何をしているんだい?ここらは虫しかいないよ。」
「ティールさん、月がありますよ。」
「ツキ?」
 この世界では"月"すら通用しないみたいだ。多分、太陽も通用しないだろうな。
「上にある、いつも丸いやつですよ。」
「……あれは"ホシ"だろう?君は何か別のものが見えているのかな。」
「星を知っているんですか?」
「そりゃあね、ホシといえばホシガタも有名だね。」
「ホシガタ」
 そう言うとティールさんは月、いや"ホシ"に手を翳した。
「こうすると……ほら、ダイチくん来て、見えたよ!」
 背の高い彼を見上げるように翳された手を覗き込む。手の甲にはぼんやりと何かの模様が見えた。
「ふふふ、運がいいねダイチくん。滅多に見れないんだよ、コレ。これが"ホシガタ"さ。」
 よく目を凝らすと見覚えのある形が見えてきた。夏の大三角形だ。右下にはくちょう座、左下にこと座、上にわし座。キレイな二等辺三角形。
「いいかい?この一際輝いている三つの星が今季のホシガタだ。ああ、本当は昨日の祝祭で披露したかったけど、みんなデロデロになるまで飲んでたからな。」
 ティールさんがやけに饒舌になってきた。彼はホシが好きなのだろう。
 いつの間にか模様は消えていて、彼の手だけがホシに照らされていた。
「俺にもできますか?それ。」
「できないよ。」
「…………」
 くるりと振り返った彼はいたずらっぽく微笑んだ。
「こればっかりは生まれ持った才能だから。それに、君の手は分厚いからね。」
「分厚いとダメなんですか。」
「そりゃあね。だって、ホシが入ってこれないだろう?」

−続…?−

10/5/2024, 1:51:49 PM