—片想い—
大好きな君に、私は振られた。
いつかは、本当の恋人になれると信じていたのに。ただの体の関係で終わってしまった。
所詮、セフレに過ぎなかったのだ。
——俺、彼女できたから。
君の優しい声が頭の中に響く。
ついさっき、いつもと変わらない柔らかい笑顔で、そう告げられた。
「なんでよ……」
家に帰る気分にもなれなくて、路地裏で膝を抱えて座り込む。
コンビニで買った瓶酒を片手に、涙が溢れてくる。今晩はアルコールで全て忘れたい。
「ミサ、大丈夫か……?」男の声がした。
「うん……、誰よ……」
視界がぼやけて、目の前にいるのが誰かわからない。
その人は、私の体を抱えてどこかへ歩き出した。どうにでもなれ、という思いで体を委ねた。
——
俺は味噌汁を温めた。
昨晩、家に連れ込んだ君がいつ起きても良いように。
「あれ……、私、どうしてサトシの家に」
ベッドの方をみると、ミサが体を起こしていた。二日酔いのせいか、頭を抑えている。
俺は味噌汁をよそったお椀を君に差し出した。
「味噌汁飲め。少しは楽になるぞ」
「ありがとう……」
君は、ホッと息を吐く。
——どうして私を愛してくれなかったの?
——どうして誰も私を愛してくれないの?
昨晩の悲痛な叫びが、頭の中に響く。
「振られたんだってな」
「そう……。私、言っちゃったか」
君は一度小さく頷く。「うん」
「何か俺にできることがあったら言えよ」
「いつもありがとう。——またいい人見つかるかな……」
愛してくれる人なら側にいるじゃないか。
そう言いたい。
けれど君は、きっと俺を友達としてしか見ていない。
大好きな君に、幸せでいてほしい。
だから今日も、俺は君を支える。
「きっと見つかるよ」
俺は笑顔でそう言った。
お題:大好きな君に
3/5/2026, 5:50:14 AM