“誰にも言えない秘密”
私ね、誰にも言ってない秘密があるの。
悪戯っぽく笑う君の黒髪が揺れる。
夕暮れの教室には2人だけ。
君はシャーペンを回しながらいう。
誰にも言ってない秘密、ある?
訊ねる君には応えずに、帰り支度を勧める。
君は少し不貞腐れた様な顔をしながら渋々机に散らばった文房具を片す。
「ねぇ、秘密ってどんなの?」
鞄を抱えて訊ねる。
えぇ〜?おしえな〜い!
君は少し不機嫌そうに教室を飛び出して、出入口で振り返った。
帰るよ!
手を差し出して、眩しいくらいの笑顔で言った。
君と一緒の帰り道が大好きだ。
君が、大好きだ。
6/6/2023, 7:20:27 AM