りくのいるか

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1つだけ

私には1つだけ宝物と言える秘密がある。

神様と結婚しているのだ

薬指には見えない結婚指輪をしており

背に大きな油絵用のパレットと

弓矢を入れる筒をキューピットのように担いでいるが中には矢の代わりに絵筆が入っており

腰には絵の具が入った袋を縛っている。

服はギリシャ神話のローブをまとって

アルテミスのような姿をしている。

大理石の立派な椅子に座った美しく、常に少し皮肉な微笑みを浮かべ、堂々とした芸術の神様の前で

(芸術の神様は男の芸術の司には自身の理想の最も美しい女性、女の司には美しい理想の男性に見える)

何万人もの大勢の妻や夫達と一緒にうやうやしく、かしずいているのだ。

小さい頃からこのイメージが頭に入っており、挫けそうになった時はこの光景を思い出し

夫であり、神である者に、芸術家としての使命を果たさせて欲しいと守護を祈り、敬虔な使徒として生かされている幸せを感じつつ、涙しながら眠るのだ。

孤独も苦しみも悲しみも怒りも芸術の神に捧げる貢物なのだ。

私は忍びの者である。

笑う者は笑うが良い。

4/3/2024, 10:21:04 AM