北極星は、南の形を夢見た

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#81「どんなに離れていても」

「知っとる?月ってな 一年に3cmくらい地球と
離れてるらしいで」

博識な人と別れた
とても大切な人だった

その言葉を 最後に別れ話をして
 その言葉は  私を宇宙に駆り立てて
  その言葉で   宇宙旅行に旅立った

「月から見た地球は 意外と小さかったよ」

ストレス発散に旅行に来たのに
まだ彼を思い出すように話しかけている

羨ましいなぁ

地球と離れても そのときそのとき 良い距離感で
良い具合にバランスを取っている月

諸行無常 いつか月か地球が壊れるだろう
バランスが保てなくて 離れてしまうだろう

だけど 終わりまで一緒にいようとする天体は
人間からしたら一途のように見える

だから月に恋をする

月みたいに 私はずっと 少しずつ
何度も まわって 見えなくなって 繰り返して

あの日の思い出に目を眩ましていた

お願い 目の前を流れるデブリだっていいから

「遠くから見ていた私からは憧れの人を追って
努力する君は 月みたいに輝いていた」
って伝えてあげて欲しいな

もう遅いか

地球からずいぶんと離れて
ロケットは 月への到着をアナウンスした
横たわって 私は物思いにふける

離れたって君を見つけられる
いつか また地球で会えると思う

でもさ

やっぱり近くで 君の笑う顔が見たいなって
それだけだよ

それだけ

4/26/2025, 11:05:13 AM