雨亭

Open App

明けない夜はない、とよく聞くが、明けないのではないかと思うほどの長い夜と、明けて欲しくないと思うほどの短い夜は存在する。

同じ夜でも焦げパンとジャムパンくらいの違いはある。

私は大切な人を想う時、明けないでほしいと思う夜が増えますようにと願うことがある。

大人の醍醐味は大抵の出来事を忘れずに覚えておけることだ。

だからこそ、忘れられない瞬間が、記憶にしか収められない瞬間がありますようにと願う。

そんな瞬間が、長く苦しい夜を救う時があるからだ。

しかしまあ、焦げパンにジャムを塗って、泣きながら食べる時も、まあそれも人生。

-静かな夜明け-

2/6/2025, 5:25:45 PM