郡司

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 お届けものです。私は魔女…じゃなくて魔法使い。
 私のお届けものは、わかりやすく目に見えるものの姿はしていません。あ、でもちゃんと「受取拒否」もできますから、どうか御心配無く。

 魔法使い達は各々得意分野の手法でお届けものを運びます。魔法道具を創るのが上手な者、象徴を丁寧に組み込んだ護りを創るのが上手な者、自然界の他の種族と一緒に技を為す者、なりわたる謳いでいのちの力を助ける者、料理に生命力を付与する者などなど、それはもう十人十色と言えるほどで、でもすべての魔法使い達に共通なのは、皆楽しく力を発揮することですね。自分自身やたくさんの生命に「幸せになるための何か」を届けようというのですもの。楽しくないわけがありません。

 えっ、悪い魔法使いも居るだろ、って?
 よろしくない技を放つ自覚があるなら、その時点でそれは「魔法使い」とは定義できませんね。「よろしくない技を放つ必要」を持つのは、魔法使いが識っているべき真実を未だ識らないからです。
 …あら、ちょうど良く「いにしえの魔法使い」が来たようです。彼はいにしえもいにしえ、ちょっと想像しづらいくらい大昔から魔法使いだったらしいです。彼が若かりし時代の世界では、魔法使いは聖職者で科学者だったのですって。でも、その世界は「ついえた」そうです。どうしてかは存じませんけどね。
 彼に話を委ねてみましょう…
 あらあら、「手短に収めるのは適切ではない」なんて言って行ってしまったわ。またいつかつかまえて、そのときにはいろいろ聞きましょう。

 ともあれ、魔法使い達は「届けたがり」なのです。嬉しそうな、楽しそうな、笑顔や様子が大好きなのですよ。どうか遠慮なく、「お届けもの」を受け取ってくださいね。


1/30/2024, 1:03:51 PM