夢見てる

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脳裏
澄んだ空気が漂う朝「どうか、ご無事で」俺の手を震えながら握るあいつは今にも泣きそうだった、「おう、お前の飯が一等美味いからな、お前の飯食うためにちゃんと帰ってくるぜ」なんて軽口を言ってもあいつは笑わずただ伏せた目から大粒の涙を零すだけ。頬を少し掻き「……なぁ、最後くらいお前の笑った顔見てぇな…」言ってるうちに恥ずかしくなって声が小さくなる。ちらりと彼女の顔を見ると涙を貯めた目を見開き笑う「そうですよね、ごめんなさい」泣きながら笑う彼女が愛しくなって静かに抱きしめる、彼女もまた泣きながら俺に抱きしめ返す、あぁ行きたくない、逝きたくないな。

ヒグマに投げられ自分の体が壊れていくのを僅かに感じる。脳裏に浮かんだのは最後に見た泣きながら眉を下げ笑うあいつの顔。

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11/9/2021, 10:52:00 AM