「お守りにしてね」
そう言って手渡されたキーホルダー。
ころりと握らされたそれをつまみ上げて、暗い夜空にかざしてみた。
チェーンに繋がれた先には、小さな小瓶。
中には金平糖のような欠片がころころと詰まっている。
月明かりを受けてキラキラと反射する様は、まるで星のように可愛らしい。
――あれ? でも、何か変だぞ。
気に入って、じっと見惚れていて気が付いた。
見間違いかな。
この欠片自身も光って見えるのだけれど、気のせいかしら。
「ねえ。これ、何?」
訝しんで尋ねれば、いつもに増してご機嫌な君はのらりくらり、「内緒」と囁き微笑んだ。
「きっと良いことあるよ。おまじないもかけたから」
鼻歌に乗って揺れる君は、何故だか得意気で。
訳を訊いても答えてくれはしなかった。
「ふーん。おまじない、ねえ」
半信半疑の私に構わずに、小瓶はキラキラ輝き続けている。
まあ、いっか。
お楽しみを暴くのも野暮なもの。
君の云う「良いこと」とやらを、信じて待ってみるとしよう。
(2025/01/09 title:069 星のかけら)
1/10/2025, 7:44:48 AM