「雪の静寂」
トンネルを抜けたら雪国だった。そんな感じの一節が出てくる小説があったような気がする。SNSで流れてくるネットミームで構成された知識は最早知識なんて言えそうもないけれど、情報の消費に慣れたこの脳は質より量を求めてしまうので、いつまで経ってもSNSの中毒から逃れられそうもなかった。
暖かいこの土地で、雪が積もっているのを見るのは久しぶりだ。確か小学生くらいの時に一度雪遊びが出来るくらいに積もったことがあったような。
朝の冷え込みが一段ときつく、布団から出るのに大いなる覚悟が必要だったのは決して気のせいなんかではなく積雪のせいだったのかと気づくことができたのはゴミ出しのために外に出たからだった。
道路一面に積もった雪は真っ白で未だ誰の足跡もついていない純白だった。柔らかくふかふかとした新雪は音を飲み込むようで、辺りはシンと静寂に包まれていた。すぐ近くにある踏切の音がやけに遠く、小さく感じる。雪というものはどうしてこんなにも音を吸収するのだろうか。
まるで世界にたった一人になってしまったのかと思ってしまうような静けさがゴミ出しに来たお隣さんの挨拶で壊されて、世界に音が戻って来た。さっきの少し恐ろしさを感じるほどの孤独感は消えて、そこには安堵と少しの淋しさが残っていた。
12/17/2025, 6:32:40 PM