M_V_0802

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「どうなってるんだよ……」

いつも通り起きて、気怠げに入ったバイト先は、戦場かと見紛う程大荒れだった。

「悠馬、待ってたよ」

涼太が普段絶対にしないような満面の笑みでこっちに微笑んでいる。不気味すぎる。

「何でこんな荒れてんの?」

手を洗いながらそう尋ねる。

「いや、ひな祭りだよ。テイクがもうやばい」

「あー、成程……」

家とバイトの往復しかしてなかったせいで、日付の感覚が完全に抜けてた。

「マジかよ、休みにしとけばよかった」

「そんなこと言うなって。夜飯にちらし寿司食おうぜ」

作業台の方をチラッと見ると、山のように積まれたちらし寿司。ほぼ確実にロスだな。

「よし、じゃあさっさと終わらそ」

涼太はそれを聞いて満足気に頷く。

「じゃあ俺テイク捌いてくるから、悠馬は注文見てて」

「は? あんだけあって足んないの?」

「じゃあそっちは任せたよ」

涼太はそう言ってさっさと作業に戻って行った。仕方ない。やるか。溜め息を吐き、キッチンという戦場に乗り出した。

『ひなまつり』

3/3/2024, 12:43:46 PM