すゞ

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詩のようなもの0022

真夜中の散歩は
ちょっとした冒険になる

終電も行ってしまった街に
まばらな人影
仁王立ちして
私は主人公になる
大都会の真ん中には
ビルがあって
入り組んでいる首都高があって
まずは大きな世界に目もくれず
歩き出すんだ

高速を右に見ながら
郊外に向かって歩いていく
青く黒い深夜の空
人はどんどんいなくなって
東京を独り占めしていくんだ

昼間は車で溢れる幹線道路も喧騒も
それこそ姿も音も神妙に消え失せて
頼りない街路樹と街灯
時折すれ違う車
歩道を歩けばタクシーも拾えない
ガランとしたコンビニは無人のようにも見える

自分の足だけを頼りに
家まで帰るんだ
世界は私のものだ

どこまでもどこまでも歩いていける気がする
いつの日か
こんなふうに天国まで歩いてゆけるならいいな

8/22/2025, 11:11:30 PM