お題「セーター」
「さむ〜…」
そう言う君は、少し大きめのセーターを着ていて萌え袖になっている所が可愛らしい。
写真に残したいと考えてしまう僕は、思っているよりも彼女の事が好きなようだ。
「暖めてよ。」
ほら、なんて手を広げた彼女を真似して、僕も手を広げた。
ぽすりと収まった彼女は、ぬくぬくと僕の子供体温で暖まっている。
きっと、夏は暑くて僕から離れるんだろうな…と考えたら悲しくなってきた。
「帰りさ、手繋いで帰ろ。」
恥ずかしそうに頬を染めた彼女が、上目遣いで僕に言った。
もし、僕が雪だるまだとしたらもう溶けてしまっているに違いない。
彼女に釣られて、僕の顔まで熱持っていくのが分かる。
「いいよ。」
昼休みの終わりを告げるチャイムが流れる。
授業は全く頭に入って来ることはなく、右から左へと流れて行った。
もちろん、彼女と帰ることで頭がいっぱいだったのだ。
僕は、体温を分け合った今日のことを忘れないだろう。
11/24/2022, 10:09:03 AM