すこん、と抜けるような青空に眩暈がした。
例年並みとされる気温は寝起きの肌を凍らせんばかりなのに、目に映る色の鮮やかさがやけにアンバランスだ。頭の上で輝く太陽が、眼下の道路脇に並ぶ常緑樹の葉を鮮やかに見せる。なんでこんなに晴れているのに寒いのか、少しばかり腹が立つ。
そういえば昔、冬は曇りの方が暖かいのだと聞いた気がする。正しくいえば、昼が晴れで夜が曇りだと、昼間温められた空気が夜間宇宙に出ていかず、翌日も暖かいのだった。
「だからなんなんだ」
部屋の中からユキが声をかけてきた。彼は全身に毛布を巻き付けて、不機嫌そうに「寒いから早く閉めろ」と言う。なんて不健康なやつ。空気を入れ替えないとそのまま腐っちゃうよ、と反抗しようとし瞬間、強く風が吹きこんだ。布団の中からユキが悲鳴を上げる。ぎゃああ。
「閉めろ! バカ!」
「換気だよ。冬でもたまに窓を開けないと」
「冬でもってなんだ、寒気は冬が本番だろ。なんでもいいから閉めろ」
「そのカンキじゃないし。そもそもユキは布団に守られてるじゃん」
「いいから!」
あまりにうるさいから、仕方なく俺は生ゴミをベランダのゴミ箱に捨てて室内に戻った。カラカラ、パタンというこの音を、おれは好きだと思っている。でもジャッというカーテンを引くこの音はそうでもない。耳触りが良くない。個人の感想です。
遮光カーテンが日光を遮ったのを察知して、ユキが布団から出てくる。白い肌、赤い目。鋭い牙。
「ああ、死ぬかと思った」
「わざわざリビング出てこないで、寝てればいいのに」
「いんだよ、目が覚めたんだから」
さ、餅。餅。尊大な態度で強請ってくる我儘吸血鬼にため息をついてやる。まあべつに、外の様子が見えない冬の日も、こいつがいればいいのだった。結局。
1/5/2026, 2:49:26 PM