何の変哲もない、貴方とただ過ごす放課後。
教室で一緒に勉強をしていると、どこからか変に美しすぎるような、そんな歌声が聞こえてきた。
「そういえば、合唱部ね、コンクール結構いい結果出したみたいだよ」
「へぇ」
だからか、どこか張り切りすぎているようにも聞こえる歌声は、それでも青春を過ごすためのBGMにするにはちょうどよかった。
「私も、あんな風に歌ってみたいな」
「いいじゃない。歌ったら?」
「いいの?じゃあ、遠慮なく」
ラララ……と貴方は優しく歌い出す。
なんて言う歌なのか聞きたかったけれど、歌っている貴方の顔を見たら、邪魔をしちゃいけないと思って、勉強を再開させた。
知らない歌なのに、さりげなくハモってみる。
貴方の美しい歌声と、私の自分勝手な歌声。
あぁそうか、貴方がクラリネットで、私はサックス。
辞めてしまっても鮮明に、あの時の音色が思い出される。
ラララ……どこか、クラリネットの音がした。
3/7/2025, 11:12:39 AM