ゆかぽんたす

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星に願いをかけるとか、
そこまで夢見がちな女子じゃないんだけど。
さすがにこんなんじゃ星頼みになりたくなるってもんよ。
新年度、新学期、新クラス。今年こそはあの人と一緒になれますようにって祈ってたのに。
恋愛成就の神社はしごしたり運気のあがるもの身につけてみたり、なるべく良い行ないをするように心がけてたのに。
それでも駄目だった。これで高校3年間全部別クラス。
あーあ。神頼みも意味ナシか。ついてなさすぎる。これで、今日から新しく始まる1年間も希望ゼロになったわよ。どうしてくれるのよ、神様。
ブツブツ言いながら駅までの道を歩く。私は帰宅部だから、ホームルームが終われば帰るだけ。
あの人は、バスケ部。今ごろ体育館で部活をやってるはずだ。
いつもみたいにこっそり見に行こうと思ったけど、同じクラスになれなった悲しさでそんな気は起きなかった。だから大人しく帰る。帰って、ヤケ食いでもしようかな。それより途中でカラオケにでも寄ろうかな。
「なぁ」
最初は自分に掛けられてるんだと思わなかった。とぼとぼ歩いて正門を出ようとする寸前、いきなり後ろから肩を掴まれた。
「ぎゃあ!」
「うおっ」
実に可愛くない悲鳴をあげてしまった。悲鳴というか、これじゃ雄叫びだ。何事かと振り向くと、私の肩を掴んで引き止めた犯人がいた。まさかの、彼だった。
「…………へ」
「もう帰んの?」
「な、ななななんで」
「後ろ姿が見えたから追い掛けてきた」
「え、だから、なんで」
「いや、今日は見に来ねえのかなーって」
「……なにを?」
「バスケ」
「!!」
さいあくだ。バレてた。ひっそりこっそり見に行ってたのに。1回も目が合ったことなんてなかったはず。なのに、なんでバレた?やばい恥ずかしい消えちゃいたい。
「また、暇な時見に来てよ」
じゃーな、って、爽やかに言って彼は言ってしまった。私のバカ。せっかく喋れるチャンスだったのに何をぼう然としてたのよ。
「……ていうかさ、」
見に来てよ、って、何。どういうこと?意味は分かるけど、なんでわざわざ言いにきてくれたの?もう、何もかもが分かんない。
……でも。
「とりあえず……願掛けは、効果あったのかな」
スマホについてる星型のストラップを見つめて思う。ありがとう神様。文句言ってごめんなさい。明日から私また、がんばるから。見守っててね。

4/25/2024, 11:06:33 PM