川柳えむ

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 私は端数の存在。どこへ行っても余り物。
 小さい頃からそうだった。最後に残されるのは私だ。

 たとえば、仕事でも。いつ切り捨てられてもいいような、いつもそんな位置にいる。
 たとえば、恋愛でも。誰かの隣にいることも叶わない。端数なのだ。手を伸ばしても届かない。大切な人の隣には、必ず私以外の大切な人。

 日曜の朝。ホームに滑り込んできた電車は気怠そうに。乗り込むと、ゆっくりとまた走り出した。
 透き通るような青空が、窓の外に広がっている。
 どこへ向かおうとしているわけでもなく、ただぼーっと電車に揺られながら、窓の外を眺める。

 このまま消えてしまっても、誰にも気付かれない。誰の記憶の片隅にも残らない。
 たとえば、私の存在で誰かが傷付くとしたら。同じように私も傷付いていたとしても、端数である私が消えるべきなのだ。

 それでも、もし誰かが私のことを少しでも心の片隅に残してくれるのなら。
 そう言ってくれる誰かの存在があるならば。
 それがたとえ、口先だけでも。私自身がそれを知っていたとしても――私はまだ、生きていける。
 世界の片隅で、そんなことを思う。


『心の片隅で』

12/18/2025, 10:32:02 PM