「 私ね、勿忘草っていうお花が好きなの 」
と 、彼女はよく そう口にしていたことを今でも覚えている 。
僕は初めてそう聞いた時
「 へー 、なんで? 」
と 、ただ話の話題になればいいなと 、
そんな軽い気持ちで 質問をした 。
なので 、そこまで答えに 期待していた訳では
無かった 。
のだけれど 、彼女は
「 んー 、可愛くない? 」
と 、あまりにも適当な答えを出すもんだから 、
軽く笑ってしまった 。
普段そんな適当な理由を つけない彼女だからこそ 、そんな一面もあるのだなと 、そう思った 。
「 まぁ 、確かに可愛らしい花だよね 」
「 私ね 、白色が好き 」
と 、微笑みながら言う彼女 。
「 なんで? 」 そう 聞こうと思ったが 、
どうせまた適当な理由だろうと思い 、そこまでは聞かなかった 。
── それから約数ヶ月 。
ふと 、僕の中に疑問がうまれた 。
彼女はホントにそんな適当な理由で "勿忘草" を好きだと言ったのだろうか?
あの時は気にもとめなかったけど 、今思えば やっぱり彼女らしくないな 、なんて 。
今更ながら思う 。
そう思うと 、なんだかいてもたってもいられなくて 、気づいた時には
勿忘草について 調べていた 。
そこで分かったのは 、
彼女の好きな 白の勿忘草の花言葉は
「私を忘れないで」だった ということ 。
もしやこれを伝えたかったのかな 、なんて 。
そうだとしてもそうじゃなかったとしても 、僕は物事を ポジティブに捉える方が好きだ 。
そう思い 、これは 彼女が僕に
" 伝えたかった最期の言葉 " だったのだろうと 、勝手に そう解釈した 。
彼女は内気な性格で 、言葉に出して伝えるのが苦手なタイプだった 。
だからこそ 花の名前を出して俺に伝えたかった 。
と考えても 、ある程度納得はいく 。
本当は今すぐにでも真実を彼女に確認したい 。
でももう あの可愛らしい笑顔を浮かべる彼女はここには居ない 。
Fin .
2/2/2023, 11:12:17 AM