─鏡─
鏡の中の君。僕が左手を握れば、君は右手を握る。
君と握手はできないけれど、
僕が君を見つめるとき、君も僕を見つめてる。
そんなことは初めてで、君は僕の特別だった。
君とお話ができたらいいのに。
僕は君に話しかける。
返事が返ってくることは無いけれど、
少し傷跡が増えた君は僕と同じように笑ってた。
そっか、君も同じことを思っていたんだね。
ドタドタと玄関が騒がしい。
昨日よりも騒がしい。
■■が帰ってきた。
今日もまた、傷が増える。
でも、僕はちっとも痛くないし、悲しくもない。
だって次会う君もきっと、僕と同じだから。
8/18/2024, 5:34:26 PM