XXXX

Open App


 もう、ほとんど夏ですね。
 
 貴女を守るようになってからは、幾度もの夏を共に過ごしましたが、俺が生きていた時は、貴女と夏の時間を共有することはできませんでした。

 貴女をこうしてお守りできること。
 俺はそれだけで満足すべきであるし、実際満足もしています。
 それでも時折、蒸すような暑さの日が暮れてきた夕日の中、貴女の隣に座って、少し汗ばんだ貴女の手を握って、俺の名を呼んでくれる貴女の声と、遠くに鳴くひぐらしに耳を傾けてみたかった、と思ってしまうのです。

6/28/2024, 12:39:35 PM