「という訳で、今回の題材は“特別な存在”でーす!」
部長の楽しそうな声が聞こえるが、こっちは全然楽しくない。
「悠、作品出来た?」
声をかけてきたのは、同じ文芸部に所属している瞳。
「まっっったくできてねぇ」
「題材決まったときから機嫌悪そうだったもんねぇ」
「だってなんだよ、”特別な存在”って。公開告白でもしろってか」
「…ふむふむ、ということはいま気になる人がいるってことかー」
「な!ちち、ち、ちっげーよ!いるわけねーだろ!?まだ、20歳でもねーのに!」
「相変わらず、見た目に反してピュアだね」
「うっせ」
着くずした制服とピアスの付いた耳を見ながら言う瞳。
「閑話休題ってことで、題材のことだけど、何も恋愛対象だけじゃないと思うよ。例えば、家族とか、親友とかさ」
「あー、家族ならやっぱ母ちゃんか、親友ならお前だな」
「悠のお母さんは、女手一つで育ててくれたもんねぇ」
何故か親友がノーコメントだったが、特に気にしなかった無かった。
「そういやお前はどんな風に書くのか決めたのか?」
「もっちろん」
「なんだよ」
「それは秘密だよっ」
「ンだよ教えろよー」
つつきながら聞くが教える気はないらしい。出来たら1番に見してあげるから。そう約束して、俺たちはそれぞれ作品の制作へと取りかかった。
3/24/2026, 5:10:21 AM