霜月 朔(創作)

Open App

恋物語


本屋へ行って、棚に並んでいる本を眺める。
そして、ふと。
人気の本を、何気なく手に取った。

何処か愛らしいカラーの装丁。
繊細で柔らかいイメージのタイトル。
ハッピーエンドの恋物語。

…読まなければ良かった。
幸せそうな物語の主人公とは対照的に、
俺の心は、どんよりとした灰色になる。
だって。
俺には、こんなハッピーエンドなんて、
訪れる筈もないから。

ずっと、ずっと、片想い。
君と俺は友達だけど、
君は俺を、恋愛対象としては、
見てはくれないだろうから。

俺が、現在進行形で書き綴っている恋物語は、
このまま、アンハッピーエンドなのかなって。
そう思うと。
ハッピーエンドの恋物語なんて、
もう、読みたくはないんだ。

5/18/2024, 3:05:39 PM