『秋恋』
秋恋とは、秋という季節に置ける恋らしい。
なんとなくお洒落な言葉で気に入ったから、調べてみた。
今は9月。
秋というには少し早いかもしれないけれど、寒がりな同居人はもう長袖を着ている。
私が彼女をじっと見つめていると、何?と煩わしそうな視線を向けられた。
黒いパーカーの袖から覗く、白く細い指先。
陽の光を受けて柔らかく光る長い髪。
どうしても見てしまう。
だって彼女がすごく綺麗だから。
好きと伝えたら、彼女はどんな顔をするのだろうか。
怒られるかな。それか、馬鹿にされるかも。
でも、もしかしたら
なんて。
私の気持ちを伝えるのはまだ先。
面倒なことは、先送りにすればいい。
いつか雪が溶けて、春になったら。
好きの代わりに、彼女の肩に顔をうずめた。
ほのかに香る、柑橘系の香水。
あったかくて、心地いい。
私の恋は、まだまだ続く。
木の葉が散って、秋が終わっても。
9/21/2024, 12:20:28 PM