教室の窓から、景色を見るのが好きだった。
空を飛ぶ飛行機。中庭に植えてある植物たち。
グラウンドで走り回るサッカー部。そして、
その中にいる、私の好きな彼。ゴールを決めて笑って
いるところも、部内で一番足が速いところも、自分
でも小学生みたいな理由だと思うけど好きだ。
もちろん顔も性格も好きだ。こんな私にも優しい。
そして、景色にうっとりして下校時刻間近まで窓を
眺めていると
「中山、まだ居たんだ。何してたん?」
なんて関西弁混じりに言い、一緒に景色を見ようと
2人で数分だけ空を見つめる時間が、この世で
1番と言っていいほど好きだった。
ある日、また放課後に教室に残って空を見上げていた
私を見つけた彼はこう言うのだ。
「俺、空見て楽しそうにしてる中山が好き。」
空を見上げているうちに実った恋なので、私たちの
中で「空恋」(ソラコイ)と呼ぶことにした。
7/6/2025, 11:24:07 AM