「好きだよ」
好きな相手に好きだって伝えるのって
とても難しいと思ってた。
言わなくても態度で伝わるでしょって
思ってた。
正直照れくさい、って思ってた。
そんな価値観をガラッと変えてくれたのが
彼女、杏さんだった。
「好きって言うのが照れくさい?」
まだ僕らがただの先輩後輩だった頃、
飲みの席で元カノの話を聞いてもらってた時。
先輩だった杏さんは驚いた顔をしてそう言った。
「なんか好き好き言うの歯が浮きそうになるっていうか。。ガラじゃないって言うか。一緒にいるんだから好きに決まってんじゃん、って思っちゃったんすよね。」
「まぁ、確かに言い慣れないと照れくさいっておもっちゃうのかもねぇ」
でもね、と杏さんは続けた。
「大切な人に好きって伝えられるのって幸せな事だよ。とってもね。」
「確かにそうですけど…」
「シロくんもちょっと後悔してるんでしょ?」
「まぁ、不安にさせた結果その後振られましたからね。」
「じゃあその分、次に誰かを好きになったらその分沢山気持ち伝えていかなきゃね」
「そうなれるように頑張るっす!」
「えらい!!!ちゃんと経験を糧にして成長してる!シロくんのそゆとこ好きだよ」
その瞬間。
酔って少し赤らめた顔で
ふにゃっと笑った杏さんに
ときめいてしまった。
「俺も優しい杏先輩好きです」
咄嗟にそう言っていた。
(杏さんは酔って覚えてなかったけど。)
4/5/2025, 5:07:27 PM