霜月 朔(創作)

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一筋の光


俺は暗闇の底にいた。
全てを失い、
抜け殻の様に斃れていた。
何も残ってはいなかった。
最愛の友も、希望も、信念も、
…生きる意味さえも。

憎しみが俺を支配する。
全てを壊したい。
心の奥底から湧き上がる衝動が、
この世界を、不条理を、運命さえも、
破壊し尽くせと、俺を誘う。

神と刺し違えてでも、
終わりにしたい。
…そう願った。

俺は闇の中で、
全ての破滅を望む。
悪意が魂を蝕み、
悪魔が囁きかける。

その時。
一筋の光が、
鋭く闇を裂いた。

最後の希望にすがるように、
俺は、手を伸ばす。

「お前は、独りじゃない」

そんな声が、
聞こえた気がした。

11/5/2024, 7:07:46 PM