かたいなか

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「小さい」を表す英単語は複数存在しておって、
Smallは主観的な小ささを、
Littleは客観的な小ささとかわいらしさを、
Tinyはともかく非常に小さいことを、
ネット情報によれば、それぞれ表しているとか。
なお「tiny love」は同名の、赤ちゃん用知育玩具メーカーが、海外に存在しているとか。

と、いうハナシは置いといて、今回の「tiny love」なおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近のおはなしです。
都内某所には本物の魔女のおばあちゃんが切り盛りする、不思議で素敵な喫茶店がありまして、
来る31日のハロウィンに向けて、コトコトコト。
大きな魔女の大釜で、パンプキンのベーススープをじっくり、煮込んでおりました。

「このベースを1杯と、それから追加で好きな味を入れて、色々な味のスープにするのよ」
魔女のおばあちゃん、アンゴラが言いました。
「ハロウィンの時期は、私のような本物の魔女や魔法使いが店に来るから、
使い魔のための、肉のパンプキンスープとか、ナッツのパンプキンスープとか、そういうのも作るわ」

コトコト、ことこと。tiny love。
ハロウィンは本物の魔女たちが、コスプレ魔女に紛れて本性をさらけ出せる貴重な夜です。
コトコト、ことこと。tiny love。
ハロウィンは小さな使い魔ネズミ、使い魔猫、使い魔カラスに使い魔チョウチョたちが、
一時的に「里帰り」してきた亡霊たちの「小さな愛」を、小さな伝言を、あるいは小さな謝罪を、
お小遣い稼ぎのために、生者に伝えて回る夜です。

ところでそのアンゴラの喫茶店にハイテク機器をくくり付けられて不機嫌なtiny love、
小ちゃな小ちゃなハムスターが1匹。

「そりゃ不機嫌にもなるよ!まったく!」
ぷんすか!チューチュー!
不思議なちっぽけハムスターは、アンゴラの店のミックスナッツを食べながら、猛抗議。
「ハロウィンの非日常に乗じて、『世界多様性機構』の『領事館』が、妙なことを計画してないか情報収集してこいって言われてさ、
そりゃ、僕は特殊情報部門だから、情報収集が仕事だけどさ、だけどさ!

その領事館に!この小さい新作カメラを背負って!
潜入したら領事館に子狐が居たんだぞ!!
そりゃもう必死に逃げたよ!追いつかれたよ!
寿命減ったよキツネパンチだぞ!!ちゅー!!」

ちょっとアンゴラ!ナッツ足りない!おかわり!
不思議ハムスターは相当にご立腹。
ハムが勤務している組織の、ハムが勤務している部署宛ての領収書を切ってもらって、
出張費としてナッツをカリカリ、かりかり!
「当然だよ!僕は決死の死地に潜入したんだぞ!
これくらいの手当て、あって然るべきだよ」

おかわり、おかわり! ハムは魔女のアンゴラに、再度、ナッツのおかわりを注文しました。

「ねぇカナリア、おちびさん、ちょっと良い?」
「なんだよアンゴラ!僕は今怒ってるんだぞ!」
「このままじゃ、ミックスナッツの在庫が、あなたに全部食い尽くされてしまうわ。それでね」
「ちゅー!ちゅー!」

「このパンプキンベーススープを作るにあたっていっぱい残ってるフレッシュなカボチャの種がね」
「ふれっしゅな、かぼちゃのたね、」
「どっさり、あるんだけど」
「たべる!!」

ぷいぷい、ぷくぷく、ちゅー!
小ちゃな小ちゃなtiny love、不思議な不思議なハムスターは、魔女から緑色のカボチャの種の山盛りを貰って途端に大満足!
「はぁ、はぁッ!最高だ!最高に新鮮な種だ」
ぷいぷい、ぷくぷく、ちゅー!
幸福な幸福なtiny love、言葉を話す小さなハムスターは、カボチャの種の海にダイブして、種のひとつを取り、香りを深く吸い込んで、
「んんん、おいしい、おいしい……」
食欲のおもむくままに、全部を堪能しましたとさ。

10/30/2025, 6:51:16 AM