「I LOVE」「Love you」「big love!」と、「Love」だけでもこれで4個目。恋愛系のお題が多い気がする「書く習慣」です。
今回のお題は「True Love」とのこと。こんなおはなしをご用意しました。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界多様性機構」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこは、滅びそうな世界の人々を助け出して、密航のカタチで他の世界に逃がしたり(違反)、
問題を抱えた発展途上の世界に先進世界の技術を導入して、一気にその問題を解決したり(違法)
全部の世界が一緒に発展して、全部の世界を取りこぼさず救うことを目的に掲げて(理想論)、
日々、活動している組織なのでした。
世界多様性機構は、大量の難民を連れてきます。
多様性機構は、その世界のレベルをブチ上げます。
それは、「世界の法律」としては完璧にブラックで、完全に良くないこととされていますが、
それでも機構は、すべてを救うことこそ「真実の愛」であると信じて、活動しておるのです。
で、その世界多様性機構の、違反違法を取り締まってくる組織を「世界線管理局」といいまして。
今回のおはなしは、この管理局に忍び込んだ機構の破壊工作員の、「True Love」なおはなし。
お題回収役の破壊工作員さんは、ビジネスネームを「ネギ」といいました。
「くそっ、分断された!」
機構のネギさん、にっくき管理局に5人1組のチームで忍び込んで、管理局を木っ端みじんに破壊するためのチートアイテムを設置、
したところまでは良かったのですが、管理局の局員に見つかってしまってさぁタイヘン。
「作戦は失敗だ、5人中3人が捕まって、俺もケガで作戦区域外まで離脱できない。どうすれば……」
ああ、くそっ、ちきしょう。
あのときアイツがヘマするのを、俺が気付いて、もっと早くフォローできていれば。
工作員のネギさん、いたむ片足を引きずって、隠れられる場所を探して、なんとか管理局に逮捕されまいと移動しておりましたら、
「わあ、!機構のスパイさん、酷いケガしてるぅ」
管理局の、きっと事務職員でしょう、
ふわふわした雰囲気の女性に、見つかりました。
「スパイさん、こっちぃ。手当てしなきゃ〜」
ふわふわ、ふわふわ。
その管理局員は、機構の構成員であるところのネギさんを「敵」としっかり理解していながら、
それでもネギさんをあわれんで、とてとて、ひょこひょこ。担架にのせて、隠しキッチンもとい隠し部屋に、収容してやったのでした。
「うーんとぉ、えーっと〜、コレとコレと、それからコレとコレとー。んん〜、コレもぉー」
ポイポイポイ、ぽいぽいぽい。
局員は慈愛の指で小瓶を選んでは、フタを開けてハーブを取り出し、ハーブティーを調合です。
「は〜い、スパイさん、どうぞー。
傷の治りを早くする、回復スペシャルのお茶〜」
ネギさんがお茶を飲んでいる間に、管理局員の手でネギさんの傷が消毒され、包帯が巻かれて、
はい、おしまい。治療はすぐ、終わりました。
「これに懲りたらぁ、管理局の襲撃なんて、しちゃダメだよぉー。ばいばぁい」
管理局員が光の笑顔を、ネギさんに向けます。
ネギさん、自分の胸が射抜かれるのを感じました。
一目惚れです。確実に、それです。
敵にも博愛の手を差し伸べるこの局員に、そのTrue Loveに、ネギさん、落ちてしまったのです。
「何故だ、なぜ、俺を」
「だってぇ。痛いの、やだもぉん」
「手当てした俺が、アンタを……あなたを、攻撃するとは、考えなかったのか」
「攻撃されたら考えるぅー。
あ、お礼はねぇ、美味しいケーキで良いよぉ〜。
収蔵部収蔵課の、ドワーフホト宛てでヨロシクぅ」
「ドワーフ、ホト……」
ああ、ああ!なんと無欲で、なんと美しい、
これぞTrue Love、これぞ真の慈愛!
機構のネギさん、ストンと底まで落っこちて、
きゅん。 秒で、就職先変更の決意をしました。
「ホトさん、俺は、いや、わたしは……
機構から、今日を限りに、足を洗う!!」
「そっかぁー。
……ぇえ? んんん〜?」
バン!
ソッコーで管理局の総合案内に向かいまして、
あれこれ事情を白状しまして、
「はぁそうですか」「じゃあこちらへどうぞ」「少々お待ち下さい」からの「じゃあ採用」。
ひとまず管理局の法務部に放り込みます。
「ビジネスネームどうする?」
管理局の偉い人が言いました。
「機構での偽名が『ネギ』だったんだろ?」
もうひとりの偉い人、すぐにポツリ、返しました。
「法務部に放り込んで『カモ』にでもしろよ」
True Loveに打ちのめされた、カモネギのおはなしでした。 おしまい、おしまい。
7/24/2025, 9:51:35 AM