亜紀

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『幸せに』

君がいなくなった時、もう無理だって思った。

もう、きっと僕は耐えられないって。
息も苦しくって、ご飯も喉を通らないで死んじゃうよって。

──でも

君がいなくなっても朝はやって来るし、
君がいなくなってもお腹は減る。

僕は思っていたより薄情みたい。

君がいない世界に慣れてしまえば、きっと僕は今まで通り
君に出会う前に戻るだけ。

君がいない生活は、案外なにも変わりゃしなかった。

君がいなくても、僕はきっと幸せになれるんだろうね。
息もできるしご飯も美味しい。夜はぐっすり眠れるし、色んなものに心が動く。


何も変わらない僕の世界には、
……君だけが、そこにいない。

ぽっかり空いた隙間から、本来君が収まっていたその空間から



『君との幸せ』だけが抜けちゃっただけ。
ただ、それだけ。

3/31/2022, 12:51:31 PM