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 見事な秋晴れだった。
 いつも眠っているあいつが久々に目を覚まして「外に出たい」なんて言うものだから、青々とした空の下、二人で敷地内を歩いて回った。
 暖かい陽気と心地よい風に包まれて、なんとも穏やかな時間だった。あまりにも気持ちの良い空だったから、あいつがまた眠ってしまわないかと不安になって、何回もその横顔を伺った。
「見すぎ」
 そう言って笑った顔が、幼い頃の面影と重なった。ああ、ちゃんと成長してるんだな。なんて、ジジくさいことを思ってしまってちょっと恥ずかしい。誤魔化すように、わざと大きく咳払いをした。
 明日も晴れたらいいね。そう言うと、あいつは少しきょとんとして、それから静かに微笑んだ。そうして空を見つめて、言葉少なに肯定した。
 青空には白い筋がひとつ、長く長く横たわっていた。

10/18/2023, 2:57:21 PM