「雫」ぽつり降り注いだ雨粒は地面をまだら模様にして、やがて濃い一色に染め上げる。鼻先をくすぐる雨の匂いと傘を持ってきていないことに気が付いて顔を顰めた。「傘、持ってきたから一緒に使お」「俺が持つよ、貸して」ありがと、小鳥の囀りのような声で感謝されると共に傘を手に取り駅に向かって歩を進めた。傘を彼女側に傾け濡れてしまわないようにする。雨にさらされた肩は冷えるけど、君には濡れてほしくないから。
4/21/2024, 9:11:35 PM