もうすぐ一時左手だけ生活

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キャンドルというと真っ先に出てくるのは
クリスマスだ

ただ人生、一度もクリスマスにキャンドルを灯したことはない。
高級レストランで揺らぐキャンドルとも縁遠い。
どちらかといえば、危ないから早く消せ
それに尽きる。
キャンドルの思い出がたりといえば、
以前安物のアロマキャンドルにハマって買っていたことだろうか。
安物と言っても個人的には三百円代のそれは、お高いものだった。
火をつけても、わずかに香りがするかしないかのレベルで
香りを楽しむというよりただ、明かりを楽しむものだった。
危なくないように、選ばれたのは浴室だった。
それ専用のお皿に風呂の明かりを消して
ぼんやりとその光のゆらめきを、眺めるだけだ。
うっすらと暗い光で
昔の人は、これよりもずっと暗い光で物を読み、思いを馳せたのだと
考える。
知識に食らいつき、思いを巡らせ、
世界を回した。
この世界は便利だ。この世界は明るい。

カッコつけながら自分に酔いしれる晩を繰り返し。
ソレが終わったのは突然だ。
キャンドルを乗せた皿を不注意で落とし割ってしまった。
落とした先は、
洗濯機の中。
まだ洗濯物未のもので先ほど家人たちが脱ぎ散らかした
下着や靴下や服の中心に、皿が粉々になっていた。
必死に一つ一つ下着の中やら靴下を確認しながら

二度とキャンドルをしないことを心に決め
残したキャンドルは非常用にした出来事は
もう十年以上も前の話だ

11/19/2024, 2:52:56 PM