ほろ

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ゆらり。沈んでいく太陽の輪郭を見ていると、夜がやってくるのだと思う。
夜は嫌いだ。誰もが少しずつ静かになっていくあの時間が、たまらなく怖い。寝るという行為が怖い。寝てしまったら、皆と同じように静かになってしまったら、今日の自分の息の根を止めてしまったら。きっと明日の自分は、今日の自分の皮だけを被った別の何かだ。

それでも、自分が人間である限り、眠気は毎日やってくる。何度だって自分の息の根を止めにやってくる。

「ああ……ねむい……」

会社用の鞄を投げ出し、靴下を脱いでその辺に投げる。ネクタイを緩めながら、そのままベッドに倒れ込む。
今日も眠い。また、今日の自分に別れを告げて、明日の自分を迎えに行かなきゃいけないんだな。

「ねたくない……」

2/18/2024, 5:25:07 PM