ももく

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 薄暗く広い間である。石、なのだろうか、床はひやりと冷たく、体温を奪っていく。だというのに空気は大雨の直前のように生ぬるくしめっぽい。息苦しさを感じないのが不思議だ。
 何ともつかない、奇妙な石像がいくつも壁側に座する。
 何かを守っているのだろうか。動き出しそうな気配すら感じる。
 その壁には、植物の根がまるで浮き出た血管のように張っている。
 根は水を、土を求めているのだ。それはここにはないというのに。
 
 すべてここで終わらせる。

 ここまで伸びた根がいつか土に根ざすことができるように。



『終点』

8/10/2024, 1:01:22 PM