「あ」
風船が飛んでいる。空高く飛んでいる。
きっと誰かがうっかり手を離しちゃったんだ。真っ赤な色の風船。
あの風船は何処に行くのかな。何処まで高く飛ぶのかな。
私のこのもやもやも全部持っていってくれればいいのに。
いつからだっけ。もやもやの正体が分からなくて気持ち悪いの。
考えたって分からないからいい加減手放したい。
「ああ風船が」
声のする方に視線を向けると同じ学校の男の子がいた。
男の子も私と同じ風船を見てる。
こんなところでひとりでなにしてるんだろう。
なんて私も人のこと言えないけど。
男の子は私に気付かないまま反対方向に行っちゃった。
またひとつもやもやが増えた私は踵を返して歩きはじめた。
#47 高く高く
10/15/2024, 4:52:46 AM