始まりには終わりがある、
その間に何があるかは分からないけど。
ダチが死んだ。私とした約束を残して。
まぁかぁぁあはんにゃぁぁあはらみぃぃたしんぎょぉ〜
どうやって出会ったかは分からない。でも、私はダチだと思ってた。なんにも考えられなくて、とりあえずいつものカッコで葬式場に来てみた。
お焼香して、手を合わせる。棺桶に入ったダチはいつもよりメイクが薄くて、違和感があった。
ダチの顔に触れてみる。冷たかった。これからやっと動き始めそうなくらい。気持ち悪さは感じるけど、なんか心地よくて。なんかおかしい。
何も言えなくて、言う言葉が出てこなくて。
電池切れの姿のダチをじっと見ているしかできなかった。
全身に力が入らない中、帰ろうとしているとおばさんから声をかけられた。
[あの、美和子さん、ですか?]
「はい?急になんですか。」
[美紗が、これを、あなたにって。]
ミサトってほんとはみさって言うんだ。
おばさんはどうやら、ミサト…みさの親戚らしい。
手には、カセットテープとライターとタバコがあった。
「え、いいんですか?あたし未成年ですよ。」
[えでも…美紗が渡してって言ってたから。持ってって。]
強引に渡されたそれは、ふんわりミサトの匂いがしたような気がする。ミサトが生き続けてるみたい。
―勝手に終わらさないでよ。
王冠をつけた黒い車が、あたしの隣を通り過ぎて行った。ライターを買いに、あたしはコンビニへ向かった。
【終わらせないで】
11/29/2024, 11:41:12 AM