ギラギラ、チカチカ。
目の前を通りすぎる光は、どーにも慣れねぇ。
本来なら世の野郎共がこぞって口説き文句の一部にするだろう景色も、俺にしちゃ何の代わり映えもない日常で。
見慣れちまった景色に思い入れもなきゃ、口説く相手も居ねぇときたもんだ。
ーーーあぁ、つまんねぇなぁ。
「おい!! いい加減こっち見ろ!!」
……あ、忘れてた。
「うるっせぇなぁ。さっき起きたばっかだなんだよ、騒ぐな、バカ野郎!!」
ギャンギャン騒ぐあいつに枕を投げつけて黙らせる。
ーーーてかこいつ、また来たのかよ? ……うーわ、目ぇ据わってるし。マジでどんだけ飲んだんだ?
「お前がなかなか起きないからぁ……マジで心配したんだってぇ……」
「いや、ちゃんと起きるし。それよりお前ねぇ、今日どれだけ飲んだの?
俺も人のこと言えねぇけどさぁ、ちょっとは考えろって」
「だってぇ……今日散々だったんだよぉ……」
「あー……ほら、泣くなって。
ーーーつーか、何で起きて早々お前の面倒見なきゃなんねぇの? え? 厄日??」
「うわぁぁぁん!! ヒドイィィ!!」
グズグズ泣く酔っぱらいを介抱しつつ、仕方ねぇ奴、なんて思ってるのが無性に笑えて。
思わず笑い出した俺をキョトンとしたアホヅラで見上げてくるから、もう無理で。
「ひっでー顔!! お前マジ最高だわ!!」
「そんなに笑うことないじゃん!!」
笑い転げてバシバシ床を叩く俺につられて笑ったあいつの笑顔が、
とっくに忘れたはずの”朝日の温もり”みたいに思えて仕方なかった……なんて、絶対言えねぇけど。
朝日の温もり
6/9/2023, 2:11:48 PM