名無しの権兵衛

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2023/11/06 一筋の光

 過敏がちになってしまったのか、足元を照らすような光すら眩しく見える時がある。日光しかり、夜陰の道標である街灯しかり、部屋の電灯しかり、携帯機器の光しかり。酷使を続けてきたからか私の目は些か疲労が溜まりやすく、また解消され辛くなってきたのかもしれない。
 大それた経験もないので、これが私にとっての光だった、という劇的な話もない。どうしようもないことが人生を塞げてきたこともあったが、ただただそうなるであろうという結末に落ち着いてきた。私にとっては光とは現代を生きるに必要なものだが、人生で導かれるように差し込まれたことはない。
 ただ、雨上がりのぼやけた光は好きだ。濡れた地面の香り、濡れた木々の緑の上にある晴れ間を映す水粒、ほのぼのと明けていく空。雲間から漏れる、小さな一瞬にある景色。
 案外、そういう光でいいのかもしれない。そういうのでいいのかもしれない。爆弾低気圧で曇天となってきている空を見てふとそう思った。今日は天気が悪くなる前に早く帰りたいです。

11/6/2023, 4:20:32 AM