海月

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「 声が枯れるまで。」 / 実話です。

彼と別れてから数ヶ月が経った。毎日が少しずつ色あせていくのを感じていた。教室で彼の姿を見るたびに、心がギュッと締めつけられる。笑顔で話す彼を見ているのが辛かった。そんなある日、友達から思いもよらない知らせが舞い込んできた。

「彼、今彼女がいるんだって。」

その瞬間、私の心は冷たく凍りついた。自分が振ったのに、どうしてこんなに苦しいのだろう。彼は私と別れた後、すぐに新しい恋を見つけたのだ。あんなに優しかった彼が、今は別の誰かと笑い合っている。胸の奥がズキズキと痛み、涙が溢れそうになった。

「私が彼にふさわしくなかったからだ」と自分を責めた。彼には幸せになってほしかった。彼女のことを知らなければよかったのに。彼が新しい彼女と幸せに過ごす姿を想像するたび、心の中の痛みが大きくなっていく。

それでも、彼には心から幸せになってほしかった。彼の笑顔が見たいと思っていたから、彼女のことを思うと複雑な気持ちが交錯する。彼と付き合っていたとき、彼が私に向けてくれた優しさや、思いやりは本物だった。彼には、もう私のことを振り返らずに進んでほしかった。だからこそ、辛い気持ちを抱えたまま、私は彼の幸せを願った。

ある日、彼女の存在を知ったことを友達に打ち明けた。友達は心配そうに私を見つめ、「無理して笑わなくていいんだよ。」と言ったけれど、私はその言葉を素直に受け入れることができなかった。外では笑顔を見せ、心の中で彼の幸せを祈ることが、私の精一杯だった。

それでも、声が枯れるまで彼のことを思い続ける自分がいた。友達との会話の中で、ふと彼の話題が出ると、心臓がドキリとする。彼の名前を聞くだけで、過去の幸せな記憶が一瞬で蘇る。けれど、その記憶は同時に苦しみを伴う。思い出すたびに、彼が他の誰かといることがますます辛くなる。

一人になったとき、涙が止まらなかった。彼の存在がこんなにも大きかったのに、私が彼を手放してしまったことで、今はただの思い出になってしまったことが耐え難かった。

「どうして、私は彼を手放してしまったんだろう?」

自問自答する日々が続いた。彼が彼女と一緒にいるのを見ることが、私にとってどれほど辛いことかを知っていた。だけど、彼の幸せを願うことは、私の心の中でずっと続いていた。


彼のことを思い続けることは決して消えない想いだけれど、私も私自身の幸せを見つけるために、前に進まなければならなかった。声が枯れるまで、彼を想い続けた日々は、私にとって大切な経験だった。だからこそ、これからの人生でも彼を忘れずに、自分の幸せを追い求めるのだと決めたはずだった。

10/22/2024, 5:21:26 AM