目の前に広がる青い海。
遠い昔、俺のご先祖様である浦島太郎は大亀に誘われて、海の底にある竜宮城へ連れていかれ、乙姫に出会ったという。
"あんな場所に人間がいるなんておかしい。乙姫は海底人に違いない。海の底には海底人がいると地上の皆に伝えたかったが、乙姫がなかなか地上へ帰してくれなかった。ようやく帰ることが出来たが、地上は数百年過ぎていた。どうやら海底人は時間を操ることが出来るらしい。海底人のことを地上の皆に言ったが誰も信じてくれなかった。あれは夢ではない、本物だ。僕はこの事を日記に記し、乙姫から貰った玉手箱に仕舞うことにする。子孫の誰かが読んでくれることと、信じてくれることを祈ろう"
ボロボロの玉手箱に入っていた浦島太郎の日記に、そう書いていた。
子孫である俺は、ご先祖様の無念を晴らすため、こうして海の前で大亀が現れるのを待っているのだ。
竜宮城へ行くために。
「……あなた、浦島太郎の子孫?」
「えっ……」
後ろを振り向くと、ピンクの衣を着た美しい女性が立っていた。
1/20/2026, 11:24:42 PM