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クリスマスの過ごし方

「……ごめん、仕事入っちゃって過ごせそうにない、
ほんとにごめんね、なるべく早く終わらせるようにするから!」
そう言われたのはイブの前日。
イブも、クリスマスも、毎年一緒に過ごしとって
それは今年も変わらんって思っとった
付き合いはじめてもう三年になる。
仕事が入って過ごせないのは今年がはじめてで、
俺一人じゃクリスマスの過ごし方なんて分からんのに
でも、仕事やからどうすることも出来んくて。
「……ううん、大丈夫、仕事やから仕方ないよ
頑張って、仕事してきてな?待ってるから」
笑顔で言えたかな、
しょうには悪いけど、ほんとにショックやった。
前から2人で過ごすって決めとったから。
「……ありがとう、れん。」
そう言うあなたの表情は、少し苦しそうで
俺の本当の気持ちがばれたんかなって心配になった。
でも、その後にはすぐ笑顔になって
「…今日はいっぱい愛してあげるね、れん?」
甘い夜を過ごして、眠りについた
朝、いつも隣にある温もりは
もう既に消えていて、冷たさが残っていた。
「ごめんね、準備とかあるから、先に行くね。
気持ち良さそうに寝てたから起こすの申し訳なくてさ笑
25の、夜には帰れるから。待っててね、ご飯は冷蔵庫にいれてあるから。いつもありがとう。だいすきだよ。」
起こしてほしかったな、寝てても、
しょうのためなら起きたのに。
冷蔵庫を開けると、たくさん作り置きがしてあって、
これのために早起きしたんかなって思うと、
申し訳なくて。
「……しょう、はよ戻ってきてやぁ…」
そんな呟きが、静かな部屋に落ちた
しょうが用意してくれたご飯を食べると、
美味しいはずなのに何か物足りなくて
きっと、しょうと食べるから美味しいんやろうなって
「……はぁ、寂しいなぁ、
しょうの服、」
しょうの服を着たら、一気にしょうの匂いに包まれて
そのまましょうの部屋で寝てしまった。
「……んぅ、、あれ、今何時?」
時計の針は19時を指していた
「……めっちゃ寝るやん、ほんま、しょうがおらんと退屈やなぁ、お腹空いたし、ご飯食べようかな」
朝食べたときよりも美味しくなくなってて
でも、作ってくれたしょうに申し訳ないから
残さず食べた。
「……んー、眠くないし、映画見ようかな、」
映画もみて、風呂も入って、時間を見れば午前2時。
昼間の喧騒も、深夜となればネオンの明かりと
夜の暗闇に溶けて無くなっていた。
流した一粒の涙は、その闇を吸い込んでいる。
そっと目を閉じて、眠りに落ちた。
25日の朝、明るい街に昨日閉じ込めた闇を吐き出すように
涙を流す。
「……しょう、寂しいからはよ帰ってきてよ、」
しょうの服に包まれたまま、食べた朝ごはんは
もう味がしなくて、たべきることもできんかった。
昼も、夕方も、しょうのベットの中で
毛布にくるまって、一人で泣いた。
寂しさ、しょうに嫌われたかもしれん不安、
申し訳なさ、全部が俺を襲う
「……しょう、まだ、?」
時計の針がカチカチとなる音だけが、静かな部屋に鳴り響いた。
どうやら、また寝とったみたいで、
気づけば23時になっていた。
鏡に写る自分の顔は、目が赤くなっていた
「……こんな顔で、しょうに会えへんやん、」
顔を洗ったら少しはましになったみたいで
あとはしょうの帰りを待つだけ
でも、日付を回ってもドアの開く音はしなくて
「……夜、帰るゆうてたやんっ、
もう日回っとるやん、なぁ、しょうっ、」
閉じ込めていたはずの想いが、涙となってあふれでた
しょう、はよきてや。
突然、後ろから温もりを感じた。
いつもの香り、いつもの温もり
「…ごめん、遅くなった。
れん、ごめんね。こっち向いてよ、」
「……っ、しょうっ、遅いやろっ、!
寂しかったんやからぁ、」
「……え、れん、泣いてるの?
俺が寂しくさせたから…ごめん。」
そういって優しく頭を撫でてくれた。
でもそれじゃ足りんくて、止まらんくて。
「……なぁ、もっと、
寂しかったん、会えんくて、
朝、起きたらもうおらんし…」
「…ごめんね、起こしたら絶対離れなくなっちゃいそうで…れんには、それも嫌だった?」
「……ん、起こして欲しかった。やって…
……ぎゅー、したかったんやもん、」
「もうっ、かわいい!!」
「うるさいっ!!はよ風呂入り!」
やっぱ、俺にはこれくらいが丁度いいかな
クリスマスは過ごせんかったけど
しょうのおらんクリスマスも、こうやって後からたくさん愛してくれるならそれもええかな、寂しいのは嫌やけど。
仕事を頑張った君に、いつも大切にしてくれる君に。
普段はしない、特別な贈り物。
「…なぁ、しょお??」
「…ん?なぁに?れん。」
「……ふふ、大好きやで?」
唇に、そっと愛を落とした。

12/26/2023, 1:58:23 AM