Theme:時間よ止まれ
(時間よ。どうか止まってくれ。あと少し、ほんの少しでいいから…!)
傷口を押さえる両手が真っ赤に染まる。
必死に押さえているのに、あとからあとから赤色が溢れてくる。
「頑張れ!もう少しで医療班がくるから!」
大声で呼びかけるが、横たわる相棒には聞こえているのだろうか。
頷いてくれたのか、身を捩らせただけなのかもわからない。
(神様、どうかお願いします!医療班が来るまで相棒の時間を止めてください…!)
祈りながら必死に救命措置を試みる。1分1秒が酷く長く感じられた。
「医療班です!怪我人はどこですか!?」
待ちに待った医療班が到着したとき、俺は小さく首を横に振った。
相棒の時間は、既に永遠に止まってしまっていた。
医療班が相棒の身体を検めている。
俺は考えるともなくその様子を眺めていた。時間が酷くゆっくり流れているように感じられた。
(神様は意地悪だな。俺は、永遠に時間を止めて欲しかったわけじゃないのに)
医療班の班員が首を横に振る。
その瞬間、突如時間が動きだし、俺の目からは涙が溢れだした。
9/19/2023, 10:30:02 AM